愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「でもね、ある社長に言われたよ。君は誰のために仕事をしているんだって。誰かに手を差し伸べる仕事をしているようには見えないって。それを言われてショックだったよ」
そんな社長がいる会社って、きっと働いている人達も同じ感覚の人も多いと思う。

「それは、奈織ちゃんの紹介で会った、青羽設計の青羽社長だ。頭を打つって、こういう事だろうと思ったよ。目が覚めた」
緑川さんの会社の社長さんだったんだ・・・

「それから、考え方を変えて色々と提案したけど、親父とも上手くいかなくなった。そして、独立することを明子に言ったら、『独立したあなたを支える気は無い』って言われてね。所詮、社長の息子、そして羽瀬コンサルティングで働いているってことがなければ、俺ってそれだけの人間なんだと思ったよ」
明子さんは翔さんの何を見ていたんだろう。

「佐野さんに色々相談したら、自分も辞めて手伝うと言ってくれてね。心強かったよ。独立したことを青羽社長に報告に行ったら、色々と紹介してくれてね。社長の顔を潰さないように必死に先方の事を考えて仕事をした。凄くわくわくして、楽しかったよ。それで今があるってことさ」
翔さんは凄く嬉しそうな顔で私の目を見つめた。
私の大好きな翔さんの笑顔。

「翔さん、私、幼くて翔さんの気持ちを分からず、わがままばっかり言ってしまって・・・」
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