いつかキミが消えたとしても
その時がくる
夏休みは残り1週間となり、遊びまくっていた友人たちは家に缶詰状態になって宿題をしていた。


そんな中、舞は青っちの病室に宿題を持ち込み、1人で黙々と問題に取り組んでいた。


「もう、俺が教えなくても、大丈夫か?」


ベッドの上から呼吸が苦しそうな青っちが声をかけてくる。


「私も、少しは自分で勉強できるようになったんだよ」


おどけて返事をすると、青っちは笑顔を浮かべた。


最近の青っちは寝たきりでいることが多くなった。


体はいつもどこかが透き通っていて、苦しそうにしている時間は長くなった。


アマンダは動画の中で透明化が進めば不意に体が楽になるというようなことを言っていた。


今の青っちはその手前にいるのだろう。


これ以上病気が進んでほしくない。


だけど苦しむ顔はもう見たくない。


舞の中に矛盾した気持ちがあって、その天秤はどちらにも触れることなくずっととどまっている。


「そっか……」


青っちは大きく息を吐き出すように言う。


舞は宿題を進めながら窓の外のセミの鳴き声を聞く。


テキストを開く音と、かすかな空調の音。


不意にテキストから顔をあげた。
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