いつかキミが消えたとしても
☆☆☆

舞にとって幸いだったのは、翌日が休みだったことだ。


どうせ友人もいなくて遊びの予定なんてなにもない。


今日1日ゆっくりと自分の考えを整理するのだ。


朝起きて鏡の前で自分の顔を確認してみると、頬の赤みはすでに消えていた。


それほど強い力じゃなかったし、保健室ですぐに冷やしたこともよかったんだろう。


ホッと息をはきだした時、母親が脱衣所に入ってきた。


寝癖で前髪が跳ねていて、まだあくびを噛み殺している。


「おはよう。今日は何時から仕事?」


「昼からよ。ご飯を食べたら、もう少し寝るから」


「うん」


舞の母親は接客業をしているので曜日が関係なく出勤になる。


土日はとくにかき入れ時なので休みになることは少なかった。
< 37 / 178 >

この作品をシェア

pagetop