いつかキミが消えたとしても
☆☆☆

家まで送っていくと言う青っちを辞退して、舞は1人で家まで戻ってきていた。


まだ母親は帰ってきていなくて、いつもと同じように洗濯物を取り込んで、夕飯の準備をする。


今日は宿題があるから、夕飯は簡単なもので済ませる予定にしていた。


それでもなかなか身が入らずに、結局いつもと同じだけの時間をかけて卵料理をつくった。


そして自室へ戻って机に座った時、不意に青っちの笑顔を思い出した。


ひどい目に遭ってもひたすら前向きで、誰のことを悪く言うでもなく、自分をしっかりと持っていた。


それに比べて自分はどうだろう。


イジメられるようになってからすべてのことが真っ黒に見えて、自分のことだけで精一杯で、どうしてこんな不幸なんだろうと落ち込んできた。


青っちだって、同じようにイジメられていたのに、この違いはどこでできてしまったんだろう。


考えれば考えるほど胸の奥が重たくなってきて、舞は机に突っ伏した。


宿題のプリントが自分の顔の下でクシャクシャになっていくのがわかる。


それでも舞はしばらく顔を上げることができず、滲んで来た涙を指先で拭っていたのだった。
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