あの日溺れた海は、


そして鞄に詰めていた教科書をロッカーに入れようと手に取ると、目の前に不機嫌そうな表情をした亮が立ちはだかっていた。


「お、おはよ。」


昨日「朝練休みたいだけでしょ」なんて送ったことを怒っているのか、と少しぎこちなさが漂う声でそう言うと、亮も「おはよ。」と返して、わたしが抱えいた教科書を奪った。


「ロッカー?」


そう問いかける亮に頷くと、亮はわたしのロッカーまで教科書をしまいに行った。


「ありがとう」



「どういたしまして。…俺は朝練休みたいが為にはなを利用するわけねえだろ。ただ心配だっただけなんだから。」


しばらくして戻ってきた亮にそうお礼を言うと、亮は少し不貞腐れた様子でそう言った。


そんなことで不機嫌そうだったのかと思うとまだまだ幼稚だなと思わずくすりと笑った。と同時に予鈴が鳴ったので、慌てて席についた。


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