あの日溺れた海は、
「美化委員が委員会活動で最近使ってるっていうのは聞いたなあ。」


思いがけない手掛かりにわたしは食い入るように「いつですか!?」とおじいちゃんに詰め寄るように聞き返した。

おじいちゃんはわたしの勢いに少し体を逸らせて引き気味に「え、ええと、」と答えるとカレンダーを確認して、「先週くらいかな。」と返した。


先週といえば、ちょうどわたしが2回目に原稿を置いた時期と重なる。
これは何か繋がりがあるかもしれない…。



「ありがとうございます!じゃあ、さようなら。」

わたしはおじいちゃんにそう告げて、職員室を去ろうとした。

しかし「待って。」とおじいちゃんに止められた。


「今度部活見学をしたいという子がいてね。一年生なんだけど…。」


その言葉に驚いて「え、」と声を漏らした。


「もう仮入部期間も始まってますよね…。」


わたしの高校は部活の見学に行ってから、仮入部の申請をして、そこから本入部になる。

その部活見学をする期間は先週で終わっているはずだ。

実際にわたしたちのような弱小存続の危機部活にもちらほらと現れたが、全員文学などに興味はなく端っから幽霊部員として居座る気しかない生徒ばかりで部員全員辟易としていた。
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