あの日溺れた海は、

気づくわけがなかったんだ。


赤ペン先生は女性でも同い年でもなかった。


それにわたしも月も藤堂先生の授業は受けてない。恐らく他の部員たちも。
だから最初に文字を見たときにピンとこなかった。


でも先生は確かに"私"が一人称だし、わたしのクラスの副担任だから近くにいるといえばそうだし、毎日朝と帰りのHRで顔は合わせてる。




それにこの丁寧な口調。



分かりやすいヒントを幾つも出されていたにも関わらず、完全なわたしの勘違いで捜査の範囲を狭めてしまっていて全く気づかなかった。



「藤堂先生、だったんですね。でもどうして…」


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