あの日溺れた海は、
それからあっという間に梅雨が明けて、太陽が眩しい季節になった。


夏休み前の期末テストもなんなくパスしたわたし達は、夏休みに入るやいなや合宿が待ち受けていた。






「はな〜月ちゃんが迎えにきたわよ」


母に呼ばれるといそいそと荷物を持ちながら白地に黒の小花がちりばめられたショート丈のワンピースにカンカン帽をかぶり2階の自室から玄関へと降りていった。



「はな〜おはよ!」



そこには今日の日差しのように眩しい笑顔を浮かべる月。そしてそれとの対比を表すような藤堂先生の表情に思わず苦笑した。


「はやく、いこ!」


そう言って月はサンダルを履き終えたばかりのわたしの手を引っ張った。
そんなわたしたちを横目で見た後に、先生はお母さんと軽く挨拶を交わしてわたしたちの後ろを追うように車へ向かった。





既に全員拾った後らしく、8人乗りのミニバンの後部座席には荷物と熟睡中の玲が。真ん中には残りの3人が。つまり助手席しか空いていなかった。


隣に座ったからといって何があるわけではないがなんとなく避けたい席だった。

なんとなく。

緊張する。

考えすぎだろうか。

こんなところで波風立てるのも良くないなと思い、おとなしく乗り込むと隣に座る先生にお願いします、と声を掛けた。


先生ははい。と返すとエンジンをかけ車を出した。



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