ボトルメール
今日は特に疲れたので、とりあえず体や頭を洗ってから湯船に浸かった。
「ふぅ…」
思わずため息が出てしまった。
風呂の外で父と母が会話をしている声が聞こえた。
「あ、父さん帰ったのか…」
お腹も減ったので湯船から出て、パジャマに着替えてリビングへ行くと彰がいた。
「お、来てたのか」
「うん。」
彰とは少しだけ気まずい。彰も本当は来たくなかったはずだけど、うちに来なければ俺の親が逆に心配するからだろう。
「わざわざ食事までありがとうございます。」
彰が父と母に頭を下げた。
「いいんだよ。ゆっくりしていきなさい」
父は彰に向かって渾身の笑顔を向けた。
「さぁ、冷めないうちに食べちゃいましょう」
母がそう言ったので俺は急いで洗面台へ行き、ドライヤーで髪を乾かしてから食卓に座った。
食事中は他愛のない話をしていた。水族館の事だったり海の事だったり。すると、突然彰が俺の耳元で小さな声で話しかけてきた。
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