相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
ヒールの踵をかき鳴らしながら空港内を走った。
「待てよ!!花音」
私を呼ぶのは、内緒でもう一人の彼女とプーケットに行った恋人・聡。
高校時代、短距離走でインターハイに出場経験のある聡には追い付かれる。
「あの…」
私は目の前に現れた長身の男性に声を掛けた。


「!?」
スマートフォンを見ていた彼の目が私を見る。
キレイに光る黒い瞳に心を奪われた。

「す、少しだけ…私のそばに居てください」

私は彼のスーツの袖を掴んでぴたりとくっついた。

「待てよ…花音」

「私…この人と付き合うコトにしました」

「はぁ?何を言い出すんだ!?確かに美代とプーケットには行ったけど何もなかったと…言ってんだろ?花音」

「貴方の浮気には何度も泣かされたけど…これでお別れです…」

私は何も分からない男性の背中に隠れ、元カレの聡に言い放つ。

「お前…いつから俺の花音と…」

聡が彼を詰った。

「さぁな・・・」

彼は首を傾げたかと思えば、聡を挑発するように背中に隠れた私の腕を掴んで、腕の中に引き込んで、キスをした。
行き交う人たちが足を止めて、私達に注目した。
「チッ」

聡は悔しそうに舌打ちして、立ち去ってしまった。



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