相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
『東亜医科大付属病院』
産婦人科医局。

「槇村さん…」
「あ、はい…」

「俺の頼んでいた佐藤さんの診断書は出来てる?」

「あ、はい…これです…藤野先生」
私は作成したばかりの佐藤さんの診断書を藤野先生に渡した。

「出来てるなら、今度から持って来てね…槇村さん」

「あ、はい…すいません」

「・・・白石先生に怒られたからって…花音に八つ当たりするコトないのにね…」
産婦人科医局のトップは父の従妹・白石由夢(シラシシユメ)さん。
先輩の医局秘書の浜田さんが寄って来て、私を慰めてくれた。

私だって双子の兄の優音のようにもう少し頭があれば、医者になれたのに。

家族で私一人だけが医者ではなかった。ちなみに母は新生児科医局のトップを務めている。

「そうだ・・・アメリカ帰りのエリートドクターが心臓血管外科医局に来たらしいわよ…」

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