相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
中田さんの手で赤ちゃんはキレイにされ、私に見せてくれた。
「遥先生…男の子ですよ…」
「・・・」
白いタオルに包まった赤ちゃんは凄く小さかった。タオルに埋もれていた。
推定体重は二百グラムぐらい。
「抱っこしていいの?」
「俺達の赤ちゃんだ。遠慮するな…」
奏弥さんは処置を続けながら私に言った。
私は両手を伸ばして、赤ちゃんを抱っこした。
唯、眠っているだけのように見え、死んでいるように見えなかった。
「・・・中田さん…申し訳ないけど…二人にしてくないか?」
「分かりました…」
中田さんは私達だけを残し、分娩室から出た。
奏弥さんも私の処置を終え、ラテックスグローブと手術用のマスクを外して、赤ちゃんの元に付き添った。
「眠っているようにしか見えないな…」
羊水がほとんど残っていない胎内で必死に生きて、最後は藻掻き苦しむように死んでいったのかと思ったが、赤ちゃんの表情は凄く穏やかだった。
「髪の毛も爪もちゃんとあるな…」