天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
9、一夜を共にして
「は、はい、どうぞ」
ホテルのレストランで夕食を食べた後、部屋に戻ってシャワーを浴び、茉莉花ちゃんの寝室をノックしたら、少し慌てた声が聞こえた。
着替え中だったかな?
ドアを開けて中に入ると、荷物の整理をしていたのかスーツケースが広げてある。
「茉莉花ちゃん、明日の朝チェックアウトしたら、後楽園に行ってみる?岡山駅に近いからちょっと寄って散歩するくらいできるよ」
どこも寄らずに東京に戻ってもよかったのだが、そんな提案をしたのはお昼からずっと茉莉花ちゃんの元気がなかったから。
いや、正確にはカフェに彼女に迎えに行った時から様子がおかしかった。
なにか話しかけてもどこか上の空で、朝食は普通に食べていたのに、お昼と夕食は半分くらい残していた。
『どこか体調悪いの?』と聞いたら、彼女は笑顔をつくって答えた。
『昨日バーベキュー食べ過ぎちゃって』
彼女はいつも少食でそんないっぱい食べていない。
明らかに俺に心配かけないようにしているのが、見ていて痛々しかった。
「いいですね。岡山城見てみたかったんですよ。お城眺めるの好きで。それじゃあ、早く寝なきゃ。先生、おやすみなさい」
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