天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
怖くて思い切り叫んだら、誰かが私の額に手を当てた。
「茉莉花ちゃん。大丈夫だよ。これは夢だ」
この上なく甘く優しい声。
うっすら目を開けたら、氷室先生がいた。
「ゆ、夢?」
掠れた声で聞き返したら、彼は穏やかな目で頷いた。
「そう夢だよ。汗いっぱいかいたね。着替えよう」
言われるまま服を脱がされ、濡れタオルで汗も拭かれた。
「いい子だ。あと熱も測ろうね」
ぶかぶかのTシャツを着せられ、額に体温計を当てた先生が一瞬瞳を曇らせる。
「三十八度七分か。高いな。ちょっとなにか胃に入れて薬を飲もう」
彼は医者らしく言って私にゼリーを飲ませると、なにか薬を飲ませた。
「さあ、なにも考えずに安心して眠るといい」
「はい」
小さく返事をして目を閉じる。
きっとこれも夢だ。
先生が家にいる訳がない。
熱に浮かされながらそんなことを思う。
身体が辛いせいなのか、いろんな夢を見た。
『あんなパッとしない子がどうして隼人さまと一緒にいるの?身の程知らずもいいところよね』
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