強情♀と仮面♂の曖昧な関係
夜、私たちは同じベットの上で肌を合わせた。
お互いに寝付けないのは気づいていた。

「朝になったら帰るの?」
「いや、診療所は無理を言って休診にしてきたから、夜までに帰ればいい」
「そう」

寝返りを打って、私は公の背中を抱きしめた。
見た目よりも大きくて、たくましい。

「どうした?」
私の方を向いた公の目が、らしくないぞと言っている。

うん、分っている。
でも、今はこの温もりに包まれたい。

「私、今日仕事を休もうかなぁ?」
「そうだな」
え?
自分で言っておいて驚いた。
公がすんなりOKを出すなんて珍しい。

結局、私は病院に風邪だと嘘をついて休暇をとった。

私たちはお日様が高く昇ってもベットの中で過ごした。
何度もお互いを求め、愛し合った。

昼食が終わったら、公はまた戻っていく。
そして、私たちはまた会えない時間を過ごすんだ。
この温もりを手放したくないのに・・・
どちらからともなく唇を重ねた。

昼前になり、ベットから起き出しシャワーを浴びる公。
脱ぎ捨てられた服を見て気がついた。

着ている服にはすべて柔軟剤が使ってあるし、ワイシャツにだって綺麗にアイロンがかけてある。
それに、見たことのない下着。
公が1人で買ったとは思えない。って事は・・・
病院での噂通り、向こうに女の人がいるんだろうか?
いや、そんなはずは・・・
1人妄想を膨らませ、悶々とする私。
本当に、馬鹿だな。
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