グレーな彼女と僕のブルー
 声のトーンが落ちて、気持ちが暗く沈んだ。聞いていてうんざりするほど「赤城さん」を連呼していたので、誠の心情を思うと胸が苦しくなった。

 これは同情……、なのか?

「だからさぁー、いさぎよく諦めて、友達に昇格したってわけよ」

 既に吹っ切れているから大丈夫だと言いたげに、誠が僕の背中をバシッと叩く。

「おい」

 後ろから追い上げてきた足音と共に低い声がかかる。

「おまえら、病み上がりを理由にまたチンタラ走ってんのか?」

「っあ、すいません」

 颯爽と追い越して行く古賀先輩の睨みを受けて、誠が慌てて頭を下げた。「すみません」と僕も返事をする。

 そこからペースアップをして残りの周数を走り切った。

 小休憩を挟み、それぞれが水分補給をしたりストレッチをしたりして体を整える。

 マネージャーから再開の合図がかかり、グラウンドに集合した。

 今日は3000メートルのビルドアップ走をやるらしい。ちなみにビルドアップとはゆっくりとしたペースで走り始め、徐々にスピードを上げていくトレーニングのことを言う。

 3000だから、トラック7周半でゴールだ。

 休む前の感覚を取り戻すつもりでレーンに並んだ。
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