激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす



――――――千花から颯真を奪ってしまうこと。


そう考えて鳥肌が立った。

昨日のように見たこともない泣き顔で許しを請う姉を前に、自分は冷静でいられるだろうか。

あの時、弥生が予定通り大学を卒業して颯真との婚約を世間に発表し結婚していたら、きっとこんな風に悩むことはなかった。

たとえ颯真が初恋の相手だったとしてもそれは過去のことで、きっと純粋な気持ちで『おめでとう』と笑って言えていたはずだ。

誰が見てもお似合いの2人で、そこに自分が入り込む余地なんてなかったのだから。

それなのに……。

「なんで、今なの……っ」

目の前には千花の好みを配慮してくれたというインテリア。

ダイニングテーブルで千花の作った料理を食べると、いつだって美味しいと感想をくれた。

いってきますとただいまのキスは毎日欠かさなかった。

一緒にお風呂に入ろうとからかってきたり、子供扱いしたりする意地悪な顔も初めて知った。

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