激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

陽菜からも「ピーマンはともかく、きゃべつとかきゅうりも全滅なんだよね…」と聞いていたので、食育として野菜を題材にした紙芝居を作って読んであげた所、少しずつ食べるようになってきたとは報告を受けていた。

「すごいね!だって今日はピーマンくんも入ってたでしょう?」
「うん、ピーマンくんも食べたよ!だってひかりが食べてあげないと、ピーマンくんがゴミ箱で泣いちゃうんでしょう?」
「そうだね」
「ちゃんと食べたから、ひかり元気もりもりになった!」

以前読んであげたのは、よく子供が苦手とするピーマンやにんじん達が、なかなか食べてもらえず悲しい思いをしていて、でも自分たちを食べると元気いっぱい大きくなれるんだよと語りかけてくるという簡単なもの。

この職場でお世話になると決めてから保育に関わる書籍を読み漁り、慣れないイラストを書くのに奮闘しながら紙芝居を作っただけに、内容をしっかり覚えてくれていてくれて、可愛いぷにぷにした腕で力こぶを作って見せてくれる姿に頬が緩む。

「凄い、さすがひかりちゃん!お姉ちゃんになるんだもんね!」
「うんっ!」

手のひらに収まりそうなほど小さな頭を撫でてあげると、くすぐったそうにに目を瞑って肩をすくめた。


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