激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

同じ質問を投げかけられ、迷いながらも懇願された通りこくこくと頷きながらもう一度「さみしかった」と小さく伝える。

すると大げさなほど深いため息を吐いた颯真が「…可愛すぎて限界」と抑揚のない声で呟いたかと思うと、噛み付くようなキスを仕掛けてきた。

「んん…っ!」
「俺も。千花に早く会いたくて帰ってきたんだ」

息継ぎの合間に告げられた言葉に嬉しいと返事をする間も与えられず、颯真の愛撫に慣れた身体はあっという間に高められていく。

結婚してから今まで、こんな風にベッド以外の場所で愛し合ったことはない。

(嬉しいけど…、恥ずかしすぎる…!)

場所にも部屋の明るさにも戸惑いを覚え、千花は羞恥に身を捩る。

「まって…、ここじゃ…」
「無理。寝室まで待てない」
「せめて、電気…っぁ!」

結局千花の小さな抵抗などは聞き入れてもらえず、ソファでくたくたになるまで愛され、そのまま眠りに落ちてしまった。

そのため、テーブルに置いたままのスマホに来た矢上からの【さっき言ってたカフェ巡り、明後日の日曜はどうだ?】というメッセージに、その日千花は気付かないままだった。





< 84 / 162 >

この作品をシェア

pagetop