極上な結婚、しよ?

◇人助けをしたら、職を失いまして。




「――今までお世話になりました」


 八年も務めた教師生活に幕を下ろした私は荷物を詰め込んだダンボールを持ちトボトボと学校を出た。


「あっ、先生! 汐穂先生!」


 名前を呼ばれて振り向くと昨日まで担任をしていた学級委員の子が駆け寄ってきた。


「瀬戸さん? どうしたの?」

「先生っ……こ、これみんなで色紙書いたの!」

「え?」

「何かしたくて、だけど私たちじゃこんなのしか贈れないから……みんなで考えたの」


 彼女が持ってきた封筒を取り出すと【花染先生 ありがとう】と書かれているのが見えた。


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