可愛い幼なじみの求愛

【楓 side】



「ただいまより、イルカショーを始めます」



そんな合図とともに、僕達の楽しみにしていたイルカショーが始まった。



隣には目を輝かせた風菜。



僕と手をしっかりと繋いでくれている。



「楓くん、あれ見て!」



風菜がイルカの方を指さしている


「ん?」



風菜から目線を移動し、イルカの方を見る。



音楽のリズムに乗って、イルカが飛び跳ねる。



そして、バシャンと水の中に戻る。



「今の見た?」



風菜が手を手を繋いでいない方で僕の肩をトントン、というふうに叩いてくる。



「見た!」



「ねぇ、楓くん。どうしてイルカってあんなに高く飛べるの?」



「それはね………」



僕が話を始めると、風菜は相づちを打ちながらしっかりと聞いてくれる。



その姿が可愛くて、愛しくて、たまらない。



今すぐ、抱きしめたいくらい。



「楓くんはものしりだね」



「そう?」



「うん、憧れる」




イルカショーを見ながらそう言う風菜。



僕は風菜と繋いでいる手の方を胸のあたりまで持ち上げる。



すると、風菜がイルカショーから僕の方へ視線を移す。



「僕のこと、もっと知って」



「え?」



キョトンとする、風菜。



「そしたら、ものしりになるよ、僕の」



僕のこともっと知ってよ、風菜。



昔の僕だけじゃないて、今の僕も。



風菜が好きで好きでたまらないんだよ。



「なにそれ」



風菜が声をあげて笑う。



僕もそれにつられて笑う。



「また来ようね、風菜」



「まだ、終わってないよ」



次来るとき、僕と風菜の関係はどうなっているのか。



今の僕には分からない。




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