一人より、二人?


 浮かない俺の顔を塚本が覗き込みながら『どうした?』


 「診察日なのに相手にすっかり忘れられていたよ」



 あの日の出来事を全て話し、目の前で人ごとだと思っているのだろう?ケラケラ笑っているよ。



 俺は余計にムッとしてくる。くっそー。



 『鶴田の診察日を忘れるなんて大物だなぁ〜、大学病院では毎日おまえに会いたくてウズウズしてる患者も沢山いるのに』


 まだ、笑ってる!


 『おまえがそれだけ気になるなんて、凄い美人か?モデルとか?』


 俺は首を左右に振りながら、違う「何処にでもいる普通の中の普通の小さな女のコだよ」


 塚本は珍しい物でも見るように『女の趣味変わったのか?』なんて聞いてくる


 あのなぁ…! まったく…


 悪い、悪いといいながら


 『でも変わった子だな、で、これからどう攻めるんだ!』


 「そうだなぁ〜、こらから徹的に治療して、俺が側にいないと生きて行けないようにしてやるつもりだよ。」


 『うわ…、悪そうなその目、まだ本気でもないのに、なんだか相手の女のコが可愛そうになってきた、純粋な子をイジメるなよ、まぁ〜精々がんばれよ』


 応援していると言いながら面白がっている。


 

 まだ、塚本に言ってないこともある。
あの時ちょっとだけ彼女にお仕置きをしてやった、その時の顔は忘れられない、まさか初めてだったらしく素早く逃げられそうになったけど。


 次の診察日彼女は逃げるだろうな、でも俺は担当医で喘息の経過も必要だから、逃がさない。



 俺ってこんなにイジワルだったか?塚本の『可哀想』の意味も今なら何となく分かるな。
 
 

 二週間に一度への実家の病院、車で一時間の距離これがもどかしい…

 
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