エリート弁護士は、ショコラティエの彼女を独占欲で満たしたい。
「私は、日本で自分のお店を開くのが夢だから」
「そうね、そうよね……」
「ごめんなさいね、エリー」
大好きでお世話になったピュルテを離れるのは辛いが、夢を叶えるためなら仕方がない。
「アヤカ、寂しくなるわ。あなたのファンは沢山いるもの……でも、私は応援しているわ」
「ありがとう、店長。私は幸せ者ね。日本でも、頑張るわ」
「ええ、いつかあなたのお店に行くわね」
今日は、ピュルテで働く最終日。
店長に退職を告げた時、全力で止められた。だけど、私の夢だからと言えば了承してくれた。
「ありがとう、店長。エリー」
エリーはパリに来て唯一の友人。右も左もわからない私にパリのことを教えてくれて、たくさん遊んだりした。
「手紙書くわね、アヤ」
「えぇ、私も書くわ」
「絶対よ? 約束」
エリーと店長に別れを告げ、私は二年過ごした街と別れを告げた。