嘘カノでも幸せになれますか

「はぁ~。エネルギー使うな。でも、ごめん」

小さな声で、その場に残された男の人がそう呟いたのが聞こえた。

すると、どこからか別の男の人の声が聞こえてきて、

「おー、宮野。また告られてたのか? いいねー、モテ男くんは。さっきのって2年で一番人気のある子だろ? あんな子が彼女だったらすげー自慢できるよな。宮野、付き合っちゃうの?」

「うるせーよ。性格知らないのに付き合えないだろ。好きでもないのに付き合ったら相手を傷つける。っつーか、お前、絶対に他の奴に喋るなよ。俺のことは何を言ってもいいけど、あの子のことは誰にも名前出すんじゃねーぞ」

そのやり取りにドキンと胸が鳴った。

告白をしてきた人への気遣い。

そして、もう見えなくなった女の人に対しての、『ごめん』って言う呟き。

ちゃんと相手の人のことを思ってのお断りだったの?

私、告白されたことも、ましてやお付き合いの申し込みを断ったこともないから、断る側も大変なんだな、って初めて知ったよ。

この男の人、冷たいようでちゃんと気持ちのある人なんだ。

宮野って言われていた? どこかで聞いたことのある名前。誰だっけ?

宮野さん。知らない男の人だけど、良い人だなって思った。

私がまだ履き替え終えていない靴に足を通している時、告白されていた宮野さんが帰って行った。

その後ろ姿に見覚えがあって。


あの人って・・・



暖先輩? そう、宮野 暖先輩だった。
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