私達は結婚したのでもう手遅れです!
これ以上、冬悟さんの好きにされたら頭がおかしくなってしまう。
それなのにやめてはくれない。

「俺から逃げようとした罰だ」

「あ……んっ、んん……」

さっきより甘い声が部屋に響いた。
熱に浮かされたように体にしがみつき、その指の動きに集中してしまう。
だめだと思うほどに体はそっちに意識が向く。
着物はもう体の下でぐちゃぐちゃになっていた。

「やっ……あぁっ……」

指と舌で感じさせられて、頭はもうなにも考えられなくなっていた。
私の体が動かなくなるまで、続けられ、声も出なくなった頃、その腕の中に私の体が堕ちた。
どこまでも―――堕ちていくような感覚。
やっと体を離してくれた時には疲れきって、ほとんど眠っているような状態だった。

『やっと手に入れたのに』

意識が落ちる前、まるで子供のような声が聞こえたような気がした。

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