私達は結婚したのでもう手遅れです!
「玄馬。人質を交換しろ」

「じいさっ……いや、組長」

「馬鹿でも可愛い孫娘だ。これで少しはこりただろうからな。手当てしてやれ」

鶴の一声とはこのことで、矢郷組の人達はおじいちゃんの言葉に従った。
礼華さんは荷物のように担がれて矢郷組の人達に運ばれていったけれど、おじいちゃんが礼華さんに一言だけ言った。

「素人相手に勝手な真似をしたお前にはきついお灸をすえてやるからな」

青い顔をした礼華さんはおじいちゃんに一睨みされ、なにか言い訳しかけてやめた。

「ほら、戻れ」

「おじいちゃん。ありがとうございます」

孫があんな目にあって腹が立たないわけがない。
けど、おじいちゃんは自分の感情を一切みせなかった。
どっしりと構えて玄馬さんをにらんだ。

「嶋倉との約束はお互いに不干渉になることだ。玄馬。約束を(たが)えるな。自分の都合のいいように解釈するのも許さん」

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