私達は結婚したのでもう手遅れです!
「すぐにいなくなる。放っておけ」

「あ、あー……ライバルの動きは把握済みですよね」

すみませんと竜江が謝った。
案の定、玄馬はしばらくするといなくなったが、嫌な予感がした。
裏口から一人の女が出てきて、玄馬を追いかけて行ったからだ。
あれはたしか『柳屋』店主の後妻か。
動いたな。

「おい。仙崎。調べておけ」

「はい」

「玄馬のやつ、羽花を手に入れるためになにか仕掛けたな」

ふっと俺は笑った。
もしかすると使えるかもしれない。
いや、利用してやる。
抜け駆けもいいところだ。

「ひぇー!わっるい顔しますねー」

「竜江。お前は黙ってろ」

腕はたつが、うるさく騒ぎたてる竜江は調査向きではない。
目立ちすぎる。
その点、仙崎は黙ってこなし、確実に成果をあげてくる。
さすが俺の世話係だっただけある。

「駒が動いた。長い片想いもそろそろ終わりだ」

名刺を眺める。
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