愛して、芹沢さん
笑顔で接客してくれる店員さんに安堵する。





「プレゼントなんですけど、どんなネクタイを渡せばいいのかわからなくて…」


「よろしければご一緒にお選びしますよ」


「本当ですか?ありがとうございます」






これでセンスのいいネクタイをプレゼントできそうだ。





「失礼でない範囲内で構わないので、御相手様の雰囲気を教えてもらえますか?」





そう尋ねてきた店員さんに言ってしまいたい。






このお店の常連客の芹沢さんです、と。




そしたらすぐにネクタイを選んでくれるだろう。



でも、それじゃダメなんだよね。






芹沢さんの雰囲気を頭に思い浮かべていると、別の店員さんが対応してくれていた店員さんに耳打ちしに来た。



「ちょっと失礼します。すぐに戻ります」




そう言い残し、裏へと消えていった。
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