バーチャル彼氏
☆☆☆

ほとんど身の入らない授業は、気付けば4時間目が終わるチャイムが鳴っていた。
あれ?


本当にいつの間に?


時々立ち上がってトイレに行ったり、桃子と話したりはしたけど、勉強をした記憶がない。


「泉、ご飯食べよ」


いつも通り桃子がお弁当と自分の椅子を持ってやってくる。


「あ~……うん」


桃子は椅子を私の机の前にデンッと置いて、「いただきまぁす」と、手を合わせる。


「あのさ、桃子」


「うん?」


「今日、気分変えてテラスで食べない?」


「テラス……?」


といっても、教室のテラスは男子生徒が占領している。


「うん。第2美術室のさ」


第2美術室。
< 21 / 163 >

この作品をシェア

pagetop