バーチャル彼氏
これが実在する人物なら、本当に頭がいい。


言った言葉をすんなりと覚え、次にゲームを開始したときにはもう使っている。


「こんばんは、向日葵」


「こんばんは、泉」


ただの挨拶だけれど、心の中がポッと温かくなる。


なんとなく、これにはまってしまう気持ちがわかる。


そういえば……。


向日葵のプロフィールってないのかな?


普通、乙女ゲームなどにはキャラクターの細かい設定がついてくる。


プレイする側は、それを見てお気に入りを決めるのだ。


「向日葵、プロフィールは?」


「プロフィール」


「うん。血液型とか、誕生日とか」


「ケツエキガタ トカ タンジョウビ トカ」


向日葵は笑顔のまま繰り返した。


ダメだ。


通じない。
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