異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
 母は私が出掛ける時は必ず誰と何処に行くのか聞いてくる。


「楽団の友達と少し出掛けてくるね。夕方には戻るから夕飯の支度は私がするよ。体調悪いならゆっくりしていて」


 私が産まれる前からシングルマザーの母は女手ひとつで私を育ててくれた。私が二十歳になった時に私のおい立ちを聞かされたのだが、なんでも地元じゃ有名の御曹司との間に産まれたのが私で付き合っていた当初は結婚の話も出ていたらしい。いざ、子供が出来た事を伝えると母はその男に捨てられた。急にどこか有名な会社の令嬢と結婚してしまったらしい。母は何も言えず、それでも自分のお腹に宿った命を守る為に必死で働き私を産んだらしい。昔は今のようにシングルマザーを支援したりする法律は無かった為、若くして私を産んだ母は昼も夜も働き続けた。
 母の色恋沙汰はこの二十二年間一度も見たことが無い。そんな母の背中を見て育った私は恋にも程遠い生活をしてきた。そんな母の口癖は自分のトラウマからか「金持ちとは付き合わないで。自分の身の丈にあった相手と付き合いなさい。その方が真緒も幸せになれるし、私も安心だから」だった。
 耳にタコができるくらい何度も聞かされた。
 そんな過去がある母だからこそ心配性になってしまうのは同じ女として少し分かる気がする。
 私が今日いくつものホテルを経営するホテル王とデートをするなんてバレた時には更に体調を崩して寝込んでしまいそうだ。
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