眠り王子の専属抱き枕になりました!?
けれど私はその言葉と視線に(あらが)えなかった。戸惑いつつも体を綿星くんの方に倒すと、ぐいっと抱き寄せられた。しばらく彼の体に乗る体勢でいてから、隣に寝そべらされた。ふわふわの心地よい毛布をかけてくれる。

「おやすみ。寝ていいから。」

頭の上から聞こえる綿星くんの声に胸がざわめく。眠りに誘うようないい声だ。

「ううん、起きてる。おうちの人何時くらいに帰ってくる?その前に出なきゃ。」

「俺、一人暮らしだからうちのことは気にしないでいいよ。」

「え・・・。」

「なんかまずい?」

「う、うううん、別に。」

───いや、まずいよ!

「じゃ、おやすみ。」

ぎゅむっと抱きしめられドキドキしてしまい、柄にもなく饒舌に話し出す。

「海外で寝る時に"Sweet dreams! "って言うよね。あれって『いい夢見てね。』→『おやすみ』ってことなんだよね。なんかおしゃれだよね。親しい相手に対してしか使わないみたいだけど・・・。」

綿星くんからは何の反応も返ってこない。
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