眠り王子の専属抱き枕になりました!?
スピーカーから『はい。』と女性の声がする。お母さんかお姉さんか妹さんだろうか。最後の望みをかけて『あの、すみません。綿星くんと同じクラスの者なんですけど・・・。』と言うと返ってきたのは『部屋番号お間違えじゃないですか?』という言葉だった。表示されている赤いデジタルの数字を確認する。間違いない。今までに何度も入力してきた数字だ。

『す、すみません、あの、いつからこちらにお住まいなんですか?』と聞くと家主は怪訝な声になりつつも『もう4年になりますけど、何か?』と答えてくれた。


家に帰りベッドに飛び込むのと涙が溢れるのは同時だった。

綿星くんのベッドの上で何度も『おやすみ。』を交わした。最初は綿星くんに言われるだけだったのにいつの間にか私も言うようになっていた。その言葉を交わす瞬間がとても幸せだった。あんなに嫌いだった『おやすみ。』は楽しい時間の扉を開ける魔法の鍵言葉(キーワード)になった。

涙でぐちゃぐちゃになりながらいつのまにか眠りについた私は思わぬ場所で綿星くんと再会することになる。
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