クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす


「それとは別なんだが、造り酒屋の金子さんちの理江ちゃんは
 あんたと高校の同級生だったかな。」

「高校はひとつ年下だったと思うよ。」

「大学の時から島を出てるんだけど、何だが東京で苦労しているみたいでねえ。
 年が明けてからでいいんだが、暫く面倒を見てやってくれないか?」

「面倒とは?」

「派遣の仕事が年内で終わるそうなんだ。寮を出なくちゃいけないんだって。
 次の仕事が決まるまで家に置いてやってくれないか?」



「…和優に聞いてみないと…。」

「和優さんなら大丈夫だろ。夫の母親の頼みを聞いてくれるさ。
 金子さんには父さんが死んだ時からお世話になってるし私も断れないんだよ。
 お前のところはお金に困ってるわけじゃないし…置いてやってくれ。」

「仕事が決まるまででいいのか?」

「それくらいで十分だろう。東京なら一週間くらいあれば探せるんじゃないか?
 その間だけ、泊めてやってくれないかい?」


「わかったよ。家政婦に頼んでおく。」




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