ふんわり王子と甘い恋♡



「じゃあ、あずさまたあとでね」

「本気で置いてくんかい」



私が急かすのに気づいたスー先輩が、多目的室を出ようと歩き出す。


あずりん先輩を置いて足が進むから、腕を持ったまま私も着いて行く……けど。





「ななちゃん、」





私はこれ以上……なにを言われるの。



泣きそうな顔で振り向いたけど、……フワリくんの目は、怖くて見れなかった。




「……ごめん、ね、」

「…、」




グサってくるのは、なんでだろう。


『ごめんね』の理由を考えたら……胸の中に刃物が刺さるみたいに痛い。


何度も突き刺さる『ななちゃんの気持ちに応えられなくてごめん』。


刺さった刃物は抜けそうもないから、このまま倒れてしまいそうな気さえして……強く、スー先輩の腕にもたれた。



「あずりん先輩、スミマセン、……あと、お願いします、」




涙をギリギリまで堪えて、スー先輩と多目的室を出た。


< 523 / 638 >

この作品をシェア

pagetop