ふんわり王子と甘い恋♡
薄暗い倉庫へ入った。
小さな豆電球しかない倉庫の中は、涼しい空気で体がひんやりとして気持ちいい。
「なに運ぶの?」
「おー、この本全部だ。職員室の俺の机まで」
「えっ、多いし!」
「だからお前を呼んだんだよ」
「えー、今度こそジュース奢ってよ」
先生が運べと指さしたのは、少し埃にまみれた大量の本。
「これ、なんの本?」
「まぁいわゆるあれだ、毎年作る学校の歴史書だ」
「なんで運ぶの?」
「ん?んなもん決まってんだろ、校長に頼まれたからだよ」
「……。」
この担任、本当に校長にこき使われてるんだ…。
まぁ教師の中では下っ端だろうし、仕方ないのかな。
「これ重いよー、……1回じゃ運べない、…」
「俺まだここで探すもんあるから、1回職員室置いてまた戻って来てよ」
「えぇ!?私今ミサンガつく、」
「おー、お前も手伝うか?」
「はい?」
先生が私の後ろに向けて、謎の声を発した。
なに、やめてよ、この世のものじゃないなにかが私の後ろに見えてるの?って。
その薄暗さにゾッとした。
「……もりりん。…んな暗いとこでなにしてんの。」
「、…」
「……セクハラ、…?」
パネル係が作業する講堂が、近くにあるから。
振り向いたらこっちを見て、入口に立つフワリくんが……いた。