フヘンテキロマネスク
「もうすぐ中間だから」

「もうすぐってまだ二週間以上あるじゃん」

「私コツコツタイプなの」

「あー、っぽい」

「鈴本くんは直前詰め込みタイプ?」

「いや、俺は授業受けてるだけでできるタイプ」

「……うわ、聞いて損した」



こうして話してると、やっぱり単なる普通の友達だと思えるんだけど。



「真咲、その鞄貸して。重いでしょ」



そうやって躊躇いなく見せてくれる優しさに、胸の奥の方がむず痒くなる。無条件に優しくされることに慣れてないんだ。



「いいよ別に。それに手ぶらで帰る姿ってなんかマヌケだし」

「じゃあ俺が真咲の鞄持つ代わりに真咲が俺の持って。俺の軽いから」



いとも容易く私の両手から鞄を奪って。


そして手持ち無沙汰で持て余していた私の手に薄い鞄を押しつけてくる。


なんて強引な、と思いつつも慌てて受け取ったそれは、鈴本くんの言うとおり教科書一冊も入ってないんじゃ…?と疑ってしまう程に軽かった。
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