【SR】秘密
少しウトウトしただけで、もう学校に行く時間になった。


眠い目を擦りながら家を出て鍵をかける。


……店ではいかにも親と暮らしているかの様に振る舞うあたしは、まだ何かにしがみつきたいんだろうか……。


嘘にまみれた生活。


手紙に書かれた“秘密”とは何の事なのか、心当たりがありすぎて……。





“秘密”のひとつ、騒がしい教室は今のあたしの恰好の寝室。


一日丸々と眠って仕事に備えた。


すっかり生気を取り戻して帰り支度をする。


はやく店に行かなくちゃ。


足早に歩いていると、ぴっちりと七三に撫で付けた髪に分厚い黒ぶち眼鏡の教師に声をかけられた。


「最近、授業中寝っぱなしじゃないか。
あんまり授業に参加しないと……。」


「すみません、先生。今はすごく急いでるので」


お節介な説教を喰らう前に走り出す。


成績に問題無いんだから、余計な事に耳を貸すつもりはなかった。


それより、今はあのストーカー。


あのカウントダウンには心当たりがあった。


【０】になるその日は、きっとこの一年であたしが一番忙しくなる日……。


家に帰り、着替えてすぐ仕事場に向かう。


家にはできるだけいたくなかった。


「おはよーございまーす」


地下なのでひとつしかない入口からジェミニに入る。


中にはまだ男性スタッフしかいない。


「桜ちゃん、いつも早いね。ちょうど話があったんだ。バースデーイベントの事で……。」


そう、三日後はあたしの誕生日。
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