【SR】秘密
「ヤマト!」


ドアの開く音で我に返った貴一さんが、後ろを振り向いた瞬間、その頬にヤマトの拳がヒットした。


「きゃっ」


「貴様!よくも俺の桜に!!」


慌ててヤマトの腕を掴む。


「やめて!殴るのは駄目!」


怒りに震えるヤマトを何とか落ち着かせる。


「それより、連れてきてくれたのね」


ヤマトの後ろから入ってきた制服の警察官が、貴一さんを抑えつけている。


「あぁ、桜の言ってた通りの所でパトロールしてたのがちょうど捕まったんだ。
大丈夫だったか?」


心配そうに言うヤマトに笑顔で応える。


「大丈夫よ。タイミングぴったり」


「……どういう事だ?」


押さえつけられたまま、貴一さんが顔を歪める。


「こういう事だよ。
あなたがストーカーだって気付いて、ヤマトに警察の人を呼んで来て欲しいって頼んだの」


貴一さんの顔も見ずに言い放った。


「じゃあさっきのは……わざと?」


「当たり前でしょ」


「おい、もう桜に近付くな。
お巡りさん、連れてっちゃって下さい」


ヤマトがそう言うと、帽子を目深にかぶった警察官が、後で事情聴取があると言い残し、貴一さんを連れて去っていった。


「ありがとう、ヤマト」


二人きりになった部屋でお礼を言う。
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