That's because I love you.
その頃の明広は、バイトまでの空き時間に一度自宅へと帰っていた。
自室のソファーに座るとスマホを開き、深い溜め息を吐く。
スマホの画面には、"今日はグループワークのみんなで話し合いをした後、バイトに行ってきます。明広さんもバイト、頑張ってくださいね!"という、まりあからのメッセージが映されていた。

(…グループワークの話し合い…それは本当か?…まりあ…。)


"高橋さんが俺に話をしてくれたのは、傷付いてる望月さんを心配していたからなんですよ。"
"高橋さんは言ってました。望月さん、あなたと付き合えて最初は幸せそうだったけど、最近は何処か元気がないって。"


先日加賀見から言い放たれた言葉が、脳裏に蘇る。

(…そう言われてみれば…。)

気のせいだと結論付けて深くは考えていなかったが、今思えば数ヶ月前から、彼女の態度は何処かおかしかった。
時折一瞬だが寂しそうな表情を見せたり、考え事をしているのかぼーっとしている時も多々あった。

(……知らなかった。まりあが僕と居ることで傷付いて、悩んでいたなんて…。…でもまりあの様子がおかしくなったのは、それだけが理由じゃないんだろうな。…きっと加賀見から言い寄られて、気持ちが揺れていたから…。)

その証拠に、一ヶ月程前からまりあは急にバイトを増やし、明広と過ごす時間を無くしていた。

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