That's because I love you.
「これからまりあちゃんと会うのか?」
「関係ないだろ。」
「まりあちゃんはどこだよ?話聞きてぇ!」
「まりあは今日午前中で講義終わりだったし、バイト行ったよ。」
「マジか…今日も会えず仕舞いだし、クソ~。お前があんなウブそうな子に惚れるとはどうしても思えねぇんだよな、心配だ~。」
「惚れてないよ、まさしく。」
「…は!?」
「まりあがそれでも良いって言うから付き合ってるけどね。」
「て…てめぇ~ッ!!やっぱ予想通りのクズじゃねぇか!別れろ!!」
「やだ。」
「何でだよ!?好きでも何でもないなら…」
「…まだ飽きてないから。」
「飽き…!?お、お前みたいな奴に付き合わされてるまりあちゃんが可哀想だ!お前性格悪いし冷てぇし、どうせ喧嘩ばっかりしてんだろ!?」
「喧嘩なんかしたことないな。まりあおとなしいし。」
「んな…っ。お前みたいな奴が喧嘩もなしに仲良く交際できてんのかよ…不公平だ…!俺なんかさぁ、この間彼女にプレゼントあげたら"趣味じゃない"とか言われて…何かそれから彼女機嫌わりーんだよな…。」
「あっそ。興味ないから、じゃ。」
「おぉ~いッ!少しくらい聞いてけぇ~!」

ギャーギャーと騒ぐ森に振り返ることもせず歩みを進め、明広は大学を後にする。

"別れろ!!"
"やだ。"

先程の森の言葉に迷わず口から出た自分の返答に今になって驚いた明広は、思わず少しだけ頬を染める。

(…一ヶ月半も付き合って、まだ一緒に居たいとか思うの…初めてだな…。)

少々熱くなった顔を無意識に片手で覆いながら、まりあとの待ち合わせ場所へと歩いていた。


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