That's because I love you.
帰って風呂に入った後、まりあに誕生日のことを知った経緯を話すと、まりあはすぐさま華に電話を掛け何度も礼を言っていた。
寝る準備をした後、狭いベッドに二人で入る。
明広の腕枕に頭を半分程乗せたまりあは、彼にぴったりとくっついていた。
甘えん坊なまりあに、明広は思わず頬を緩める。

「…近々ちゃんとした誕生日プレゼント買って渡すよ。何がいい?」
「…ふぇ?プレゼントならもう…」
「あの花は急遽用意したお手軽プレゼントだよ。何か欲しいものないの?バッグとかアクセサリーとか。」
「と、とんでもないです…っ。明広さんがお花とケーキ買ってきてくれて、部屋に泊まってくれて…私今幸せすぎて、ぱーんしちゃいそうなんです。これ以上…何も要りません…っ。」
「………。」

すりすりと自分の肩口に額を擦りつけて甘えてくるまりあに、胸がきゅんと甘く締め付けられる。
自分の脈が暖かくてむず痒くて、自分の腕の中のまりあが、確かに愛おしくて。
つい、甘やかしたくなってしまう。

「…"ぱーんしちゃいそう"って何。」

からかう様に言いながら、彼女の額にキスを落とす。
まりあはかぁっと頬を染めた後、「し、幸せメーターがパンクしちゃうんです」と呟いた。
その後二人で話していると程なくしてまりあは寝付いたが、明広は暫くまりあの幼い寝顔に見とれたまま、目を閉じられなかった。

"…私…幸せです。こんな幸せな誕生日…生まれて初めてです…っ。"

行為の最中まりあが自分にしがみつきながら囁いた言葉が、脳裏に蘇る。
すやすやと眠る彼女をじっと見つめながら、彼女を起こさない様にそっと、柔らかな金色の髪を撫でる。

「……ほんとに…可愛いな…。」

明広は自分の口から無意識に出た言葉に、自分で驚いたのだった。


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