俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
いやそれは努力でどうこうなる話じゃないけど……。
でもバレちゃったものはもう仕方ない。
だから逆にそれを上手く使うってもアリなんじゃないかと。
「なにか欲しいものある?なんでも用意するよ!」
「…なんでも、ですか」
「うん!」
だってクリスマスイブが誕生日だなんて素晴らしすぎる!ロマンがありすぎる!
わたしだってこんなでも一応はお嬢様だから、たとえば欲しい香水だとかリボンタイだとか。
そーいうの、用意できないことはないから。
「では、エマお嬢様の1日を俺にくれませんか?」
「……どういう…意味…?」
「一緒に過ごしてくれるだけでいいんです」
でもそれっていつもと同じだよね…?
ぜんぜん変わらない毎日だよね……?
そうじゃなくてわたしは特別なことがしたいのに…!
「ですので、その日だけは俺のわがままを聞いて欲しいんです」
「たとえば…?」
「たとえば…肩を揉んで欲しい、とかですかね?」
「えっ!そんなことでいいの!?いいよ!!全然いいっ!するする!」
それっていつもと逆になるってことだ。
そんなのわがままのうちにも入らないっ。