俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「きゃーーっ、彼は私を見てるわ!」


「ちがうわよ!あたしに決まってるじゃない!」


「いいえ私ですわ!」



そしてなぜかわたしのクラスを見学している、さっきの新米執事さん。

こういう見学者は初めてのこと。



「早瀬さん、まさか噂は本当だったなんて!日本に戻ってくるとは聞いていたけど…」



すると裁縫担当の先生は、うしろに立つイケメン執事さんを見つめた。

わたしに対するため息は簡単にどこかへ飛んでいってしまったようだ。


ハヤセサン…?


「初めまして」と、その人は軽く答えて小さく頭を丁寧に下げる。

そんな動きさえも見入ってしまう。



「あなたのような人がうちの学校に来てくれるなんて信じられないわ。教師の私たちは鼻が高いわね」


「いえ、俺なんてまだまだ半人前です」


「ふふ、謙虚な人だこと」



ポンポン弾んでゆく会話。


彼を見た他の執事たちの落ち着きのなさとか、今だって立ち振る舞いとか。

素人のわたしが見ても分かるくらいに、ただ者ではないんだと思う。


見学者って言ってたから新人さんのはずだけど…。



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