俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




きっとお姉ちゃんはすごくハヤセのことが好きだったんだよ。

だけどあなたは執事の道を選んじゃって、お姉ちゃんには最低な婚約者ができちゃって。


あ、ロミオとジュリエットみたいだ……なんて。



「うぅっ…、う~…っ、」


「…泣かないでください、エマお嬢様。俺の言うとおりにしてください」



するよ、だからハヤセがお姉ちゃんの執事になるって言ったから了承した。

ちゃんと言うとおりにしてる。


だってそうすれば大丈夫だもん。
今までずっとそうだった。

ハヤセの言うとおりにすれば、大丈夫。



「あなたはそうやって俺のことだけを考えていればいいんです」



なにそれひどい……。

もしかすると、あの金髪野郎くらいひどいかもしれない。


ハヤセなんかお姉ちゃんと仲良くして、それなりに過ごしていればいい。

わたしはわたしで新しい執事が来るだろうし、またハヤセみたいにイケメンな物好きさんが現れるかもだし。



「や、しないっ…!ハヤセのバカ…っ」


「嫌です、します。当分できませんので」



当分できないとかお前が言うなっ。
誰のせいだ……っ!!

わたしを泣かせた第2号め……。



「んんっ…!」



言いたい文句は、甘くとろける最後のキスに消されてしまった。



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