忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜



「……な、んで……キス……」


「なんでって。したくなったから」


「っ……」


「今俺のこと誘っただろ?」


「誘ってない!」



ただコーンスープを拭いただけなのに。どうしてそれが誘ったことになるの!?



「……でも、気持ち良かっただろ?」


「っ……」



鼻先が触れるほどの至近距離で睨みつけるように無言で天音に怒る私。対して天音はケラケラ嬉しそうに笑っている。



「やべぇな。唯香にキスしてると、俺止まんなくなる。普通に襲いそう」


「おそっ……」



反論しようとした私の口を塞ぐかのようにもう一度触れるだけの軽いキスを落とした天音は隣に座り直し、



「ほら、残ってるぞ」



なんて言って私のフレンチトーストを食べさせようとフォークを向けてくる。



「……自分で食べられます」



また馬鹿にされている。悔しくて恥ずかしくて、でもそのフォークを受け取ろうとするものの天音は頑なに渡さずに笑顔で私の口元に差し出してきて。


諦めてそれをパクりと食べれば、満足そうに頷いた。


それを何度か繰り返しているうちに私も完食。


まさか朝ご飯がこんなに恥ずかしいものになるなんて思っていなかったため、食器を洗うから!と物理的に天音と距離を取った。


あのまま隣にいたら、確実に襲われる。


ククッと笑う天音を少し睨むものの全く効果はなく、子どもみたいに無邪気に笑っていた。



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