猫目先輩の甘い眼差し
恥ずかしくなって、そっと顔を背けて黙り込んだ。
誰にも、月香ちゃんにも樫尾くんにも話したことなかったのに。
まさか目黒先輩にツッコまれるなんて思わなかった。
「……好きですよ。正直、朝日先輩と楽しそうにしてたのを見て、少し胸が苦しかったです」
「やきもち妬いちゃったとか?」
「というより……私が臆病じゃなかったら、一緒に回ることができたのになぁ、って」
やきもちも多少はあったのかもしれない。
けどそれ以上に、朝日先輩に対して劣等感を抱いたことのほうが強かった。
比べても差が埋まるわけじゃないから、キリがないのも意味がないのもわかってる。
だけど……。
「寛大で考え方も大人で……私と正反対。釣り合わないよなって思ってるんです」
「ええー、正反対? 市瀬さんが?」
「はい。一ノ瀬先輩にも打ち明けたんですけど、私、本当は神経質で心が狭いんです。学校では穏やかにしているだけなんです」
「マジで?」
目黒先輩の目が丸くなった。
ごめんなさい。せっかく褒めてくれたのに。
騙してただなんて、引かれちゃうよね。