猫目先輩の甘い眼差し


前者はないとして、後者はどうだろう。


第一発見者だったあの少年は猫を飼っていた。


保護してから触れ合うまで、約半年ほど期間が空いていたのだけど、扱いに慣れていたからか、怖がらなかった。

もしかしたら、お兄さんも猫を飼っていて、接し方を知っていたのかもしれない。


……とはいえ、初対面の人に抱っこしてもらったのは、未だに信じられない。


だって心を許したわけでしょ?
いくら慣れてるからって、初対面の人を拒絶するような猫だよ?


犬の飼育経験がある私でさえ、撫でさせてくれるまで3日かかったというのに。たった数十分で手懐けられるなんて。

もう超人としか思えないよ。



✾✾



朝のホームルームを終えて、対面式が行われる体育館へ足を運ぶ。


去年はこの渡り廊下で待ってたなぁ。

今年の新入生は例年に比べて多めって聞いたから、入退場はいつもより時間がかかりそうだ。


談笑していた月香ちゃんと別れて、出席番号順に整列。

入部者がたくさん来ますようにと願いながら、先生の話に耳を傾ける。



「新入生入場!」
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