猫目先輩の甘い眼差し
✾✾



「ただいまー」



楽しかったデートを終えて、家に帰ってきた。

洗面所に直行し、手を洗う。



「れい兄、おかえりっ」

「おぅ」



タオルで拭いていると、由宇がドアの隙間から顔を覗かせた。

やけにニコニコしてるなぁ。またお小遣いでももらったのか?



「どうしたの?」

「ふふふ。さっきあつ兄から電話が来てね、今度ズイッチ買ってくれるんだって!」

「ゲーム機?」

「うん! あと! 姉ちゃんはソフト買ってくれるんだって! 後で何にするか一緒に選ぼ!」



興奮気味に言い残してドアを閉めた由宇。

相当嬉しかったのか、ドアの向こうで鼻歌を歌っている。


お小遣いの上の上をいくとは……さすが兄ちゃん姉ちゃん。

ゲームっていっても、受験生だからする暇ないんだけどな。



部屋に戻り、ゲーム機の値段を調べる。

これもお年玉全額の8割……。
加えてソフトも買うなら、貯金を使わないと厳しそ……。



「貯金……?」



ハッと気づき、引き出しから通帳を取り出す。

春休みまでバイトしてた分のお金が、まだ残ってた気がするんだけど……。



「…………足りるな」



残高を見てニヤリと口角を上げた。


初めてのプレゼントにしては、少し高くて重いかもしれないけど、最初だからこそ、素敵な物を贈りたい。

そうと決めたら。早速明日、買いに行きますか。
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