猫目先輩の甘い眼差し
✾✾



「世蘭ちゃん、買うの決まった?」

「うんっ」



文化祭モードに移った10月上旬。

昼休みの時間を使って、多目的室にて修学旅行の写真を眺める。


写真はスマホとデジカメでたくさん撮ったから、自分が写ってるのと、集合写真だけでいいかな。

注文書に写真の番号を書き記し、部屋を後に。


すると。



「市瀬さん!」

「っ、先輩……」



教室に戻る途中、零士先輩と遭遇した。

呼吸が少し荒く、息を切らしている様子。



「私、先に戻ってるね」

「……ごめんね。ありがとう」



空気を察した月香ちゃんが気を利かせて2人にしてくれた。



「部活の話ですか……?」

「いや。それも大事だけど……郁海の、話」



先輩の口から彼の名前が出た瞬間、ドキッと心臓が音を立てた。

もしかして、その話がしたくてずっと私を捜し回ってたの……?



──キーンコーンカーンコーン……。



黙り込んでいると、気まずい空気を断ち切るようにチャイムが鳴った。



「続きはまた、放課後に。校門で待ってる」

「わかりました……」
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